第4章:家具配置と視線の流れ——“動きやすさ”と“広がり”をつくる工夫を考える

アパホテル研究 アパホテルマニア アパホテル/ApaHotel

アパホテルの客室を観察していると、
家具の配置や、視線がどの方向に流れるかといった点に
独自の工夫が見えてくるように思います。

家具そのものはコンパクトでシンプルなのに、
“動きやすさ”や“狭さを感じにくい動線”が確保されている場面が多く、
これは偶然ではないのでは——そんな考えが浮かびます。

この章では、家具のレイアウトと視線誘導について、
いくつかの観察点をまとめてみたいと思います。


① 動線を「最短化」するレイアウト?

アパの客室に入ると、
入口からベッドやデスクまでの動線が
まっすぐ、もしくは1回だけの曲がりで完結していることが多いように感じます。

  • 入口 → ベッド
  • 入口 → デスク
  • 入口 → バスルーム

この動きが単純で、
“どこへ行くにも迷わない構造”になっているケースが多いのではないでしょうか。

狭い空間だからこそ、
この“迷わなさ”が快適さにつながっているのかもしれません。

次に滞在する際、
ぜひ「入口からベッドまでの道筋」がどう見えるか観察してみてください。
想像以上に単純に設計されているかもしれません。


② デスクの位置が“視線の抜け”をつくる?

アパホテルの客室では、
デスクが窓側、もしくは横方向に配置されていることが多い印象があります。

この配置によって、

  • デスクで座ったときに窓か壁の横方向が視界に入る
  • 視線が左右に流れやすい
  • 部屋の“奥行き”や“抜け”を感じやすい

といった効果が生まれている可能性があります。

もしデスクが部屋の中央やベッド前にあれば、
視界が一方向で固定され、窮屈さが出るかもしれません。
その点でも、アパの配置は“抜け感を生むための選択”のように思えます。


③ 大きすぎない家具で“圧迫感”を回避?

アパの家具は、
一般的なビジネスホテルよりも 数センチ小ぶり だったり、
必要最小限に削ぎ落とされている デザインであることが多いように感じます。

  • 折り畳み式の荷物台
  • コンパクトなデスク奥行き
  • スリムな椅子
  • 薄型テレビ

これらは“省スペース化”と言えばそれまでですが、
その結果として、

  • 通路が広く確保される
  • 見た目の圧迫感が減る
  • 背景の壁がよく見え、部屋が広く感じる

といった効果を生んでいるようにも思います。

家具自体が部屋の主役ではなく、“空間の一部”として馴染むように設計されているのかもしれません。


④ 姿見(ミラー)が“空間を倍に見せる”役割?

アパの客室には、
全身が映る姿見(ミラー)が設置されている館が多いように思います。

鏡はご存じのとおり、
空間を“もう一つの方向へ続くように見せる”効果があります。

特に、

  • 入口付近
  • デスク近く
  • ベッド脇

など、視線が自然に向かう位置に配置されており、
“空間を広げるための装置”として働いているようにも見えます。

鏡が反射するのは光だけではなく、
壁紙の柄、家具のライン、天井の高さなど、
部屋の様々な要素です。
その結果、実際よりも少し余裕のある空間に感じられるのかもしれません。


⑤ テレビの位置が“視線の分散”に貢献?

アパの客室では、
テレビがベッドの横、あるいは足元のやや上方に配置されていることがあります。

  • 真正面ではなく、少しずれた位置
  • 視線を上下左右に動かす
  • 部屋の“壁一面”を意識しやすくなる

これによって、
視線が一点に集中しづらくなり、
結果として“部屋の広がり”が感じられる可能性があります。

真正面の大画面にしてしまうと、
そこに視線が固定されてしまい、
空間が狭く見えることもあるので、
あえて少し外した位置にしているのかもしれません。


◆ 第4章のまとめ(問いかけ)

家具の配置や視線の流れという視点で見ていくと、
アパの客室は“動きやすさ”と“広がり”を両立させるための
細かな工夫が組み込まれているように感じました。

もし次にアパに泊まる機会があれば、
ぜひ家具の位置や視線の動きを意識してみてください。
あなたは、その空間をどう感じましたか?
どの配置が一番心地よかったでしょうか?

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