アパホテルの客室は、
照明の明るさや位置、光の拡がり方が独特だと感じることがあるかもしれません。
初めて泊まったとき、
「天井照明が中央にない」「光が壁に沿って広がっている」
といった印象を持った方もいるのではないでしょうか。
こうした“光の使い方”は、
客室をより広く、そして落ち着いて見せるための
重要な要素になっているように思います。
この章では、アパの照明設計を観察しながら、
その意図を考えてみたいと思います。
① 天井照明をあえて“中央に置かない”理由とは?
多くの家庭や一般的なホテルでは、
天井照明は部屋の中央に設置されます。
一方でアパホテルでは、
天井照明が壁側に寄っているケースが多く見られるように感じます。
これは、光を部屋全体に均一に広げるというより、
“壁に光を当てて部屋の輪郭をぼかす” ための配置なのかもしれません。
壁に光が当たると、
影が柔らかくなり、奥行きが出て、
結果として空間が少し広く見えることがあります。
次に泊まる時、
天井照明の位置と、光がどこに落ちているか
少しだけ注意してみると、新しい発見があるかもしれません。
② 間接照明が“素材の表情”を引き立てる?
アパの客室では、
ベッド背面の幾何学模様に対して、
間接照明がうまく当たるように設計されているように見えることがあります。
壁の凹凸に光が触れることで、
模様が立体的に見え、奥行きが増すような印象を受けるのではないでしょうか。
この光と柄の組み合わせは、
部屋の中心を“整える”役割を果たしているようにも感じられます。
③ デスク周りの光は“作業性”と“圧迫感の軽減”の両立?
デスク側の照明は比較的控えめで、
デスク全体を明るく照らすというよりは、
横に広がる光で作業エリアを優しく照らすように思えます。
あまり強すぎる光ではなく、
それでいて手元は十分に明るい——
そんなバランスが意識されているのかもしれません。
煌々と照らすタイプの照明ではないため、
コンパクトなデスクでも圧迫感が出にくく、
落ち着いた作業時間を作りやすいようにも感じます。
④ カーテン越しの光は“柔らかく、横へ広がる”
第2章でも触れたとおり、
アパホテルのカーテンとレースは横方向の柄で統一されていますが、
これにより光の入り方も独特になっているように見えます。
レースの横柄は、
自然光を“横方向にふわっと散らす”効果があり、
朝の光が部屋全体に均一に広がりやすいのではないかと思います。
窓のサイズそのものは大きくないことが多いのに、
光が柔らかく広がることで、空間の印象が明るくなる——
そんな体験をした方も多いのではないでしょうか。
⑤ 光の“濃淡”が視線誘導に役立っている?
アパの部屋では、
・強い光
・弱い光
・間接照明
・外からの光
これらが混在しているため、
視線がどこか一箇所に固定されにくいように感じます。
視線が分散されると、
空間の“隅々まで意識が向く”ため、
結果として部屋が広く感じやすいのかもしれません。
こうした照明の配置は、
単に明るさを確保するだけではなく、
空間全体の“見え方”を整えるための設計なのでは——
そんな印象を受けます。
◆ 第3章のまとめ(問いかけ)
アパホテルの客室における“光の使い方”は、
単なる照明設備以上の役割を持っているように思えます。
照明の位置、光の方向、強弱のバランス。
それらが組み合わさることで、
実際の広さよりも快適に感じる空間が生まれているのかもしれません。
次にアパに宿泊する際は、
ぜひ照明の位置や光の落ち方にも注目してみてください。
あなたの目には、どの光が一番心地よく映るでしょうか?

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