第2章:縦柄と横柄——“方向性”が空間に与える影響を考える

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アパホテルに泊まっていると、
壁紙やカーテンに 「縦方向の柄」「横方向の柄」
巧みに使い分けられていることに気づく場面があるかもしれません。

一般的に、柄の方向性には心理的な効果があると言われています。
アパもそうした性質を理解したうえで、
空間の印象が整うように配置しているのではないか——
そんな視点で考えてみたいと思います。


① 縦柄は“高さ”を感じやすい?

縦方向のラインや模様は、
視線を上へと誘導しやすいと言われています。
そのため、壁が縦柄の場合、
天井が少し高く見える ように感じられるかもしれません。

特にベッド周りなど、
縦柄が採用されている館では、
“空間が縦方向に伸びる感覚”を覚えることがあります。

もし普段あまり意識していなければ、
次に宿泊した際に、一度その柄の方向を眺めてみても面白いかもしれません。


② 横柄は“広がり”を感じやすい?

横方向の柄は、
視線を左右へと誘導しやすい性質があります。
そのため、横柄の壁紙やカーテンは、
部屋が横方向に広く見える 効果につながっている可能性があります。

特にアパでは、デスク側や窓側に
横の流れが強い柄を配置していることが多く、
この組み合わせによって“広さ”の錯覚が生まれているのではないかと感じました。

出張時にデスクで仕事をした経験がある方は、
“思っていたより窮屈に感じなかった”
と感じたことはありませんか?

その理由のひとつが、
この横柄の効果かもしれません。


③ 縦と横を“混ぜて使う”理由とは?

アパの客室をよく観察していると、
縦柄・横柄のどちらか一方に統一するのではなく、
“混在させている” ことに気づきます。

例えば、

  • ベッド背面:幾何学 or 縦方向の強い柄
  • デスク側:横柄
  • カーテン:横柄で統一
  • 入口側:無地に近い落ち着いた面

といった構成が多いように感じます。

この組み合わせによって、

  • 視線にリズムが生まれる
  • 一方向に“圧迫感”が集中しない
  • 部屋が平板に見えにくくなる
  • 奥行きと広がりを両立できる

といった効果が出ている可能性があります。


④ “意図して配置している”ように見える場面も

実際、アパの客室は決して広くないケースが多いのですが、
柄の方向性を組み合わせることで、
その限界をうまくカバーしているように感じることがあります。

縦柄の高さ感、横柄の広がり、無地の落ち着き。
これらがひとつの部屋の中で役割分担をしているかのようです。

個人的には、こうした“見え方の設計”は
かなり意図的に行われているのではないかと思っています。


◆ 第2章のまとめ(問いかけ)

縦柄と横柄という、
一見すると小さな違いに見える要素でも、
空間の印象には大きく影響しているように感じました。

もし次にアパホテルへ泊まる機会があれば、
ぜひ壁紙やカーテンの“方向性”にも注目してみてください。
あなたの感じる“広さ”や“落ち着き”は、
どの方向の柄から生まれていると思いますか?

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