東横INNの内観 ― 整然さが生む安心感

1.ロビーにあるのは「静かな秩序」

東横INNのロビーに入ると、派手な装飾はない。
白とベージュを基調に、観葉植物と案内表示が整然と配置されている。
“ホテルらしさ”よりも、“事務的な正確さ”が先に伝わる空間。
それでも落ち着くのは、一貫した清潔感と音の少なさだ。

フロントの動線も共通化されており、全国どこでも同じ方向に並び、同じ形式でサインする。
旅慣れた出張者にとっては、それが一種の安心儀式になっている。


2.廊下と客室 ― 無駄のない設計思想

廊下は照度が高めで、床も明るい色。
方向感覚を失いにくく、夜でも安全に歩けるよう配慮されている。
部屋番号のフォントやプレートの高さまで統一されており、
**「違いをなくすことで快適さを保つ」**という思想が徹底されている。

客室に入ると、ほぼ全店で同じ配置。
ドアを開けると正面にデスク、右にベッド、左にユニットバス。
毎回同じ位置に同じものがある。
初めての土地でも、まるで帰宅したかのように振る舞える。


3.デスクと照明 ― 仕事のための整えられた環境

東横INNの客室デスクは幅が狭いが、無駄がない
ノートPCと資料を広げるスペースが確保され、照明は明るく、影ができにくい。
椅子はやや硬めで、短時間の集中作業に向く。
「長時間くつろぐ」よりも「短時間で片づける」に最適化された設計だ。

そのため、翌朝の支度もスムーズ。
仕事前の15分を効率よく使える感覚がある。


4.音・光・空気 ― 安心のための見えない設計

東横INNの客室は防音性が高く、空調も静か。
夜中に隣室の音が気になることはほとんどない。
また、明るすぎない照明と遮光カーテンの組み合わせで、
**「規律ある落ち着き」**を保ちながらも休息を妨げない。

アパホテルが空間演出で印象を残すのに対し、
東横INNは演出を排して“結果としての快適さ”を残す。


5.まとめ ― 変わらない風景のありがたさ

東横INNの内観には、目を引くデザインも、ドラマチックな照明もない。
しかし、どの店舗でも同じ“風景”に出会える。
それは、出張を重ねるほどにありがたくなる特徴だ。

東横INNの空間は、くつろぎではなく秩序による休息を提供している。
心を動かす派手さではなく、心を静める整然さ。
それが、出張の夜に最も必要とされる「安心のかたち」だと思う。

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