アパホテル・リゾート型の内観 ― 滞在を変える空間設計
1.最初の印象をつくるロビー
リゾート型アパホテルの魅力は、入口に足を踏み入れた瞬間から始まります。
高い天井、広々とした吹き抜け、計算された照明。
都市型の「機能的なロビー」とは異なり、ここでは**“滞在を予感させる余白”**があります。
チェックインカウンターの背後に広がるアートや間接照明は、
“到着”を“くつろぎ”に変えるための演出です。
通常型では動線の短さや効率が重視されますが、
リゾート型では、敢えて少し遠回りでも歩く心地よさを残してあります。
出張帰りの身体がゆるむ瞬間を、建築の構成そのものが支えています。
2.客室に流れる静けさ
リゾート型の客室は、標準的なアパホテルよりも一回り広く、
照明の色温度も低めに設計されています。
テレビやデスクの配置が整いすぎていない分、
どこか“生活”よりも“滞在”を意識した空気が流れます。
壁紙やファブリックは、土地の色を感じさせるトーンで統一され、
都市型のような一律感ではなく**“地域ごとの個性”**を残しています。
この「どこに泊まっても同じではない」という感覚が、
リゾート型ならではの満足度につながっています。
3.動線と設計の違い
都市型では、客室からエレベーター、エントランスまで最短で移動できるよう設計されています。
それに対してリゾート型は、距離を楽しむ設計。
大浴場へ向かう回廊、プールサイドへ抜ける動線、
その途中に配置された休憩スペースやアートワーク。
「歩くこと」が体験の一部になる構造です。
この設計思想は、単に贅沢ではなく、時間を取り戻す装置でもあります。
都市での滞在では得られない、ゆったりとした移動のリズム。
それが、リゾート型を選ぶ価値のひとつです。
4.まとめ:空間そのものが休息になる
リゾート型アパホテルは、宿泊施設でありながら、
空間そのものが休息のために構築された場所です。
内装や照明だけでなく、動線や音の響きまでが“滞在の質”を左右します。
通常型や居抜き型が「効率とコスパ」を軸に設計されているのに対し、
リゾート型は「空気と時間」をデザインしています。
その違いは、チェックアウトの瞬間に最も実感できるはずです。
内観と並んで満足度を左右するのが、細部に宿るアメニティの質です。

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