壁・柄・光・カーテンの“空間設計”を考察してみる
私はアパホテルを日常的に利用しており、
会員ランクでは 2年連続でプレジデント に到達しています。
そのため、同じアパでも館ごとの微妙な違いや、
年ごとに変わっていくデザインの傾向に気づきやすい立場なのかもしれません。
ところで、アパホテルの客室に入った瞬間、
「意外と狭く感じない」 と感じたことはありませんか?
数字上はコンパクトな客室が多いのに、
実際の体感では“圧迫感が少ない”と感じる場面が多いように思います。
こうした“体感のギャップ”には、
アパが客室デザインに込めている細かな工夫が関係しているのではないか——
そんな仮説を持つようになりました。
壁紙の方向性、柄の強弱、カーテンのデザイン、
照明の落とし方、家具のラインの取り方。
これらが組み合わさることで、
コンパクトな空間を“少し広く”“少し落ち着いて”見せている可能性があります。
この記事では、
私が泊まり歩いた中で見えてきた“アパの空間設計の特徴”を、
あくまで観察と考察の視点から まとめていきたいと思います。
第1章:四方向の壁がすべて違う——その意味を考える
アパホテルの客室をぐるっと見渡すと、
四方向(ベッド側・入口側・デスク側・窓側)の壁が
それぞれ違うデザインになっていることに気づくかもしれません。
もし次に宿泊される機会があれば、
この“違い”を意識して眺めてみてほしいです。
「同じ壁紙だと思っていたけど、実は全部違うんだ」
そんな発見があるはずです。
では、なぜアパはこのような構成を採用しているのでしょうか。
これは “狭い空間ほど、視線の散らし方が重要になる” という考え方と
関係しているのではないか、と感じています。
① 四方向が異なることで“箱感”が薄れる?
一般的なビジネスホテルでは四面同じ壁紙が貼られていることが多く、
どうしても「四角い箱」の中にいる印象が強くなります。
一方でアパは壁ごとに柄・色・質感を変えており、
視線が一つの方向に固定されにくくなっているように感じます。
その結果、
“部屋全体が立体的に見え、圧迫感が軽減される”
という印象につながっているのではないでしょうか。
② ベッド背面の幾何学模様は“視線の焦点づくり”?
ベッドの背面だけ、幾何学模様が採用されているケースが多く見られます。
もしここに気づいていなければ、次の滞在時にぜひ観察してみてほしい部分です。
幾何学模様には視線を集め、高級感を演出しやすい性質があると言われています。
ベッドが客室の“中心”であることを考えると、
背面にアクセントを置くことで、
空間の重心を整えているのかもしれません。
③ デスク側に横柄が多いのは“広さ”の演出?
デスク方向の壁紙に、横方向の流れを持つ柄が多いのに気づく方もいるかもしれません。
横柄は、視線が自然と横方向に流れるため、
結果的に作業スペースが広く感じられる可能性があります。
特に出張利用が多いアパでは、
“机に向かう時間が長い人のための工夫”が
こうした部分に表れているのかもしれません。
④ 入口側が無地に近いのは“視線を休める”ため?
入口側の壁は比較的シンプルなものが多い印象です。
これは、部屋に入った瞬間の視界を落ち着かせたり、
全体のデザインバランスをとるための
“視線の休憩ポイント”としてデザインされているのではないかと考えています。
⑤ 窓側のカーテンは横縞で統一——広がりの演出?
アパのカーテンとレースカーテンは、
ほぼ例外なく横方向の柄で統一されています。
横柄は窓そのものを横に広く見せる効果があるため、
部屋全体の“広がり感”に寄与しているのではないかと思われます。
光の入り方も柔らかくなり、
朝の明るさが部屋全体に均一に広がる印象があります。
◆ 第1章のまとめ(問いかけ)
こうして見ていくと、
アパホテルの客室は“狭く感じさせないための小さな仕掛け”が
いくつも組み合わさっているように思えてきます。
次にアパに泊まる機会があれば、
ぜひ四方向の壁を見比べてみてください。
あなたの目には、どんな違いが映るでしょうか。


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